コラム No.025 【寺院向け】お布施のキャッシュレス化をどう考える~賛成の意見

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【寺院向け】お布施のキャッシュレス化をどう考える~賛成の意見

寺社仏閣側から見る賛成意見

お布施やお賽銭のキャッシュレス化によって、寄進額が増えたり、賽銭泥棒の危険性がなくなったりといったメリットがあることは、すでに述べた通りです。⇨【寺院向け】デジタルトランスフォーメーションという選択肢②

今回はもう少し別の角度から、「寺社仏閣がキャッシュレス化を導入することのメリット」について解説していきます。

参拝客視点からの視点を考えたい

寺社仏閣を成り立たせている力のひとつに、「参拝客の訪問」があります。そのため、寺社仏閣側でも、参拝客のことを考えた運営をしていく必要があります。

新型コロナウイルス(COVID-19)の影響でしばらく海外からの観光客が減っていましたが、現在ではまた少しずつ受け入れが始まっています。
日本人が海外に足を運んだときに、歴史的価値のある教会に赴くように、彼らもまた日本に訪れたときに寺社仏閣に足を運びます。

海外旅行中の支払いに、彼らの多くはクレジットカードを使います。これならば両替の必要もなく、両替の手数料もなく、払い間違いの心配もないからです。

寺社仏閣の拝観料やお賽銭、お守りを授与してもらうときに支払うお金も、このクレジットカードで行いたいと考える人が多いのは、ある意味当然のことだといえるでしょう。

このような事情を踏まえて、数多くの寺社仏閣がキャッシュレス化を取り入れています。たとえば徳島県にある平等寺では、タブレットとスマホを利用したキャッシュレスでのお賽銭を引き受けています。

また今回は「海外旅行客」に焦点を当てましたが、これは当然日本円を主に使っている人にも利便性が高いサービスだといえます。

「時代の流れとともに変化しただけだ」と考える声も

上記では平等寺の話を取り上げましたが、このお寺の住職は、「貨幣経済のかたちが変わっていっているのであれば、キャッシュレス化を考えるのも当然だ」としています。

もともとお供え物は、「現金」ではなく、畑で取れた野菜やコメなどの「物品」でした。
しかし貨幣経済が広まっていくにつれて、納めるものは「物品」でなく「お金」になっていきました。

言い方を変えれば、現在も根強い支持を集めている「現金でのお布施・お賽銭」もまた、それより以前からみれば「新しい文化」だったわけです。

そうであるならば、クレジットカードの保有率が84パーセントを超えた今、キャッシュレス化を考えるのはある意味自然なことかもしれません。

お寺にお供えするものが物品から現金に変わっていったように、現金からキャッシュレスでの決済に変わっていくことは、時代の流れに沿うことだとする意見は、決して間違ってはいないといえるでしょう。