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以前問題になった「除夜の鐘騒動」について その1
除夜の鐘の音はどれくらいか
年末の風物詩である「除夜の鐘」は、日本に渡ってきた中国の風習が起源だといわれています。日本における除夜の鐘の歴史は鎌倉時代から始まったとされていて、江戸時代にはすでに多くの寺院でこれがつかれるようになりました。
このような歴史的な催しである除夜の鐘に対して巻き起こった「除夜の鐘騒動」について、この記事で取り上げていきます。
「除夜の鐘騒動」とは何か
「除夜の鐘騒動」とは、年末に報じられた除夜の鐘に関するニュース及びその内容を指す言葉です。
「『除夜の鐘の音がうるさくて眠れない』と近隣住民からクレームがあったので、除夜の鐘をつくのをやめた、という寺院がある」というのがそのニュースの内容であり、このニュースはSNS上などでも広く拡散されました。なおこの除夜の鐘騒動のニュースは2019年ごろからよく取り上げられるようになっていましたが、実際には2016年ごろにはすでに報じられていました。
また、それ以前からもこのようなクレームは起きています。たとえば静岡県の牧之原市にある歴史ある名刹大澤寺は、2006年にすでに除夜の鐘をつくのをやめています。その原因となったのが、2004年から寄せられていたクレームです。匿名の近隣住民から「除夜の鐘がうるさい」として非常に強い口調でののしられたとのことでした。
ただし次の記事で詳しく紹介しますが、この大澤寺は2014年に「除夕の鐘」として、時間を変更して年末の鐘つきを再開しています。
除夜の鐘は、はたして「うるさい」のか?
除夜の鐘の音の大きさを測った報道もありました。これによれば、除夜の鐘の音の大きさは、100メートルほど離れた地点で62デシベルだったということです。
これは鉄道の線路の脇や、飛行機の中、洗濯機を回しているときの音などに近いものであり、そしてこの「60デシベル」という数字は人が「うるさい」と感じる境目の数字だとされています。
除夜の鐘は単なる「音」「楽器」とはまったくその意味が異なるものではありますが、単純に「音の大きさ」という視点だけで考えた場合、うるさいと思う人がいるのも自然な数字ではあります。
ただ、このような事実はあるものの、実際にはごくわずかの人以外を除き、多くの人は決して除夜の鐘を否定的にとらえていません。
それを示すデータとして、全国547人を対象としてとった除夜の鐘に関するアンケートがあります。次の記事では、そのアンケートを取り上げていきます。