コラム No.029 コロナ禍前後でみる「法要に菩提寺を呼ぶか」の話

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コロナ禍前後でみる「法要に菩提寺を呼ぶか」の話

そこから見えてくるもの

新型コロナウイルス(COVID-19)の流行は、私たちの生活様式を大きく変えました。そしてこの「変化した生活様式」のなかには、「法要でお経をあげてもらうかどうか」も含まれています。

今回は、「法要に菩提寺を呼ぶかどうか」がコロナ流行の前と後でどう変化したか、またそこから見えてくるものについてまとめてみました。

2020年にお経をあげてもらった人の割合は37パーセント程度、その後の見通しは?

新型コロナウイルス(COVID-19。以下「コロナ」の表記に統一)が猛威をふるっていた2020年は、「法要のときにお経をあげてもらう人の割合」が激減しました。

例年は、「菩提寺あり」の人のうちの45パーセント程度が「毎年お経をあげてもらっていた」「毎年ではないが、節目の年にはあげてもらっていた」と答えていました。しかし2020年には、この2つを合わせても、わずか27パーセント程度にしかなりませんでした。

ただこれは、コロナがまったく未知のものであった2020年であることを踏まえれば、ある意味では当たり前だったと言えるでしょう。

それよりも懸念すべきは、「コロナが収まった後ならばお経をあげてもらう」と答えた人の割合が36.5パーセント程度になっていることです。

また「今まではお経をあげてもらっていた」という層だけを取り出してみても、「今後コロナが収まらなければお経をあげてもらわない」とするそうが25.6パーセント、「たとえコロナが収束してもお経をあげてもらうことはない」と答えた層が11.8パーセント、「わからない」と答えた層が17.7パーセントもいるという事実も抑えておかなければなりません。

コロナがもたらした「寺院離れ」と、そこから見えてくるもの

コロナが出てきたことによって、「菩提寺があった人」「菩提寺を持っている人のなかで、特にお寺への帰属意識が高かった人」の「寺院離れ」が目立つようになりました。

今まで当たり前のように「法要のときは、お経をあげてもらうもの」と考えていた人たちが、「お経をあげてもらわなくてもいいかも」と思い始めたのです。

また、お布施の金額も例年の70パーセント程度にとどまったというデータもあります。

寺院は、人々の心のよりどころです。しかし同時に、寺院は人々によって支えられて初めて存在できるものです。コロナの流行によって、人々はもちろん、寺院もまた危機に立たされていることを自覚しなければならないでしょう。

このような状況を完全に解消する方法を探すことは、なかなか難しいといえます。

しかしDX(デジタルトランスフォーメーション)の考え方を取り入れ、檀家さんとより深く付き合っていくことは、このような危機を乗り越えるための方法と成り得ます。