コラム No.050 以前問題になった「除夜の鐘騒動」について その2

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以前問題になった「除夜の鐘騒動」について その2

除夜の鐘を不快だと思う人の割合と、寺院の考え方

「除夜の鐘をうるさいと感じる人がいて、彼らがクレームを入れたことで除夜の鐘をつくのをやめた寺院もある」報じた「除夜の鐘騒動」は、寺院を守る立場の人にとって身近な問題だといえます。

2回にわたってこの除夜の鐘騒動を取り上げていますが、今回は

  • はたして本当に除夜の鐘を不快だと思う人がいるのか
  • 寺院はどのように考えたらいいのか

について解説していきます。

除夜の鐘を不快だと思う人の割合は、28人に1人程度

除夜の鐘騒動を受けて、Jタウンネット編集部が18日間をかけて547人を対象として「除夜の鐘を迷惑だと思うか」というアンケートを取りました。

それによれば、「迷惑だと感じたことがある」という人の割合は、わずか3.6パーセントでした。つまり、28人中27人は、除夜の鐘に音に拒否感を持っていないのです。また3.6パーセントのなかでも、「ずっと迷惑だと思っている」と答えた人はわずか1.5パーセントにすぎません。それ以外の人は「何回かは思ったことがある」「元旦の予定によってはそう感じることもある」としているだけで、大部分の人は除夜の鐘に対して否定的な意見を抱いていないのです。

また、「除夜の鐘の音に目くじらを立てる方が心が狭い」とする意見も寄せられていました。

出典:タウンネット「除夜の鐘、本当に「騒音」なの? 全国調査の結果→96.3%が「1度も迷惑と思ったことない」」
https://news.line.me/detail/oa-jtownnet/ff5d7409697c

「除夜の鐘」を寺側としてどう考えるか

上記のデータを見ても分かるように、寺院側が除夜の鐘に対して神経質になりすぎる必要はないでしょう。世の中の圧倒的多数は除夜の鐘を肯定的もしくは中立の考え方でとらえているわけで、クレームを入れてくる人の方が特例だからです。

ただそうではあるものの、自分のお寺にこのようなクレームが寄せられれば、当然精神的に摩耗します。もちろん理不尽な要求に屈する必要はありませんが、実際にクレームが入ったのであれば、考え方を変えて、「昼間に除夜の鐘をつく」などのように切り替えるのもひとつの方法かもしれません。それは時に、単なるクレーム対策にとどまらず、「参拝客の増加」につながることもあるからです。

たとえばこちらの記事で紹介した大澤寺は、除『夜』の鐘をやめて除『夕』の鐘にしたところ、参拝客が一気に5倍以上になったとしています。昼間ならば小さなお子さんがいるご家庭でも足を運びやすくなりますし、寒さも厳しくないのでだれもが気軽に立ち寄ることができます。また、酔客がほぼゼロになるというメリットもあります。

除夜の鐘は昔から受け継がれている文化であるため、クレームだけを理由として取りやめにする必要はありません。クレームを寄せる人間は限りなく少数だからです。ただ、「より通いやすい『年末のお寺』」を作るために、鐘をつく時間を見直してみるのは良い試みかもしれません。

出典:
ABEMATIMES「「うるさい」苦情で中止から一転、“苦情ゼロ”で“参拝者5倍増”へ 「除夜の鐘」が復活したアイデアとは」
https://times.abema.tv/articles/-/7033255