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お寺のDX化の代表例「檀家さんの管理簿」
ただ住所氏名などを書き記すものにあらず
お寺のDX(デジタルトランスフォーメーション)といえば、多くの人が「檀家さんの管理簿」を思い浮かべるはずです。
しかしDXは、もっと多くの可能性を持っているものです。
「檀家さんの情報」は、住所氏名電話番号だけにあらず
「DXを活用した檀家さんの情報管理」というと、多くの人が、「檀家さんの住所・氏名・電話番号・故人の亡くなった日や法要を行った日を記すもの」と考えるでしょう。実際、これは決して間違いではありません。これらの情報は、お寺が檀家さんを管理し、その関係をつなぐうえで必要不可欠となるものです。また、「お寺におけるDX化」の代表例ともいえます。
ただ、せっかくデジタル技術を活用するのであれば、このような「事実の管理」だけに留まるのはもったいないといえます。
デジタル技術をより活用しようと考えるのならば、この檀家さんの管理簿に、その檀家さんの人たちから聞いた情報もインプットしておくことが推奨されます。たとえば、故人が好きだった花や、ご家族の家族構成の変化(「孫が生まれた」など)、檀家さんの人が好きな飲み物や悩み事などを入れておくのです。
このような情報は、檀家さんの方から、手紙やメールという「文字に残るかたち」で共有されることはほとんどありません。基本的には雑談のかたちで法要時についでのように話されることが多いといえるでしょう。そうであるからこそ、このような「ささいなこと」をお寺側でデータ化しておくことが重要です。
「ささいなこと」をデータ化することの重要性
ではなぜこのような「ささいなこと」をデータ化することが重要なのでしょうか。
その理由は、「檀家さんにとって、『このお寺はきちんと話を聞いてくれるお寺だ』と認識される存在になれるから」です。
人は、自分の話を聞いて、それを覚えていてくれる人に対して好感を持ちます。たとえば、「昔自分が『入浴剤が好きだ』と話をしたら、誕生日に入浴剤のセットをくれた」などのような経験をして、うれしく思ったことのある人も多いのではないでしょうか。
このように、自分が何気なく話したことを覚えてくれていて、それを次に会ったときや挨拶のハガキなどで触れてくれる相手に対して、だれもがプラスの印象を持ちます。
そしてこの「プラスの印象」は、宗教離れが進んでいるといわれる現在において、檀家さんを引き止める大きな理由となりえます。
言い方を変えれば、「前に法要をしてもらったのに、その日のことを忘れられていた」「法話を聞いたが、通り一辺倒なマニュアルめいたもので、故人のことにはなにひとつ触れていない」などのようなことがあれば、檀家さんはマイナスの印象を持ちます。その結果として、離壇ということにもなりかねません。
檀家さんから聞いた「ささいなこと」をデータ化して残しておくことは、お寺にとっても檀家さんにとっても非常に意味があることなのです。