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法要の予約もオンラインで!
葬祭のデジタルトランスフォーメーションその1
新型コロナウイルス(COVID-19、以下「コロナ」)の流行は、私たちの生活を大きく変えました。
ただ、この「変化」によってより便利な方向に進化したものがあるのも事実です。そしてその「便利な変化」には、デジタルトランスフォーメーションが関わっています。
ここでは、「法要の予約」という観点から、このデジタルトランスフォーメーションについて解説していきます。
まずは知っておきたい! デジタルトランスフォーメーションとは?
「法要の予約とデジタルトランスフォーメーション」を取り上げる前に、まずは「そもそもデジタルトランスフォーメーションとは何か」について解説していきます。
デジタルトランスフォーメーションとは、“Digital Transformation”の略称です。“DX”と略されることもあります(以下では、特筆すべき事情がない限りは”DX”とします)。日本語として用いられる場合は、「人間の生活をより良く変えていくためのデジタル技術」あるいは「デジタル技術を用いて人間の生活をより良く変えていくための試み」となります。
このDXの考え方自体はコロナ流行前からありました。しかし感染症の流行が、DXの考えや技術をより一層進化させたといえます。DXを利用することで、人と接触せずに作業を進めていくことができるからです。
総務省ではコロナ流行前の2019年とコロナ流行後の2020年を比較したデータを出していますが、ここでは、「複数の部署でこのデジタルトランスフォーメーションに取り組んでいる」と答えた企業が5パーセント程度増加していると示唆されています。
出典:総務省「第1部 特集 デジタルで支える暮らしと経済」
https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r03/html/nd112440.html
「法要の予約の方法」としてオンラインサービスが人気を博している
DXの概略を知ったところで、「葬祭の現場においてこれはどのようにとらえられているか」を見ていきましょう。
葬儀や法要は、「亡き人と向き合う」「亡き人の思い出をほかの人と分かち合う」という性質を持っています。心情的な面が大きく絡んでくるため、やはりDXに対して抵抗感を持つ人も多く見られます。たとえば「インターネット僧侶派遣」に関してはメリットよりもデメリットを感じる人が多く、メリットを挙げる人の割合が35.4パーセントであるのに比べ、デメリットを挙げる人の割合は81.6パーセントとなっています。
ただ、反面、高評価を得ている分野もあります。
それが「法要のオンライン予約」です。
法要そのものをインターネット僧侶派遣に頼るのは不安であるという声はあるものの、「法要はいつも菩提寺にお願いしているが、その予約をオンラインシステムで完結できるのはありがたい」とする声は非常に多いことがわかっています。
菩提寺を持つ人のうちの48パーセントが、「これが導入されたら利用するあるいは利用を検討する」と答えています。
この「オンラインでの法要の予約」を支持する声はやはり若い世代から上がることが多く、20代の場合は56.9パーセントが指示をしています。また年齢が上がるに従ってその割合は減っていくものの、50代までは50パーセントを超えています。もっとも少ない世代である70代であっても、実に3人に1人はこれを支持しています。
現在は、オンラインで予約を完結することが当たり前になりつつあります。また、「忙しいときに電話をしてしまったら申し訳ない」「お寺さんが法要で留守にしているようで、電話がつながらない」「空いている日時を可視化してくれれば、都合も合わせやすい」と考える人も多いと思われます。
寺院側からみても、「電話を取り損なう危険性がない」「いつでも確認できる」「スケジュールと連動させることで、見落としがなくなる」などのメリットがあります。
人の心情が大きく関わってくる葬祭の世界においては、「すべてをDXでまかわなければならない」と考えるのは不適当です。しかしDXは非常に便利なものであり感染症対策としても有効であるため、DXのすべてを拒絶するのもまた現実的ではありません。
寺院側にとっても信徒側にとっても、「抵抗のない部分にはDXを、抵抗のある部分には従来通りのやり方を」というフレキシブルな解釈が求められているといえるでしょう。