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【寺院向け】
デジタルトランスフォーメーションという選択肢③
寺院にとってのデメリット
「寺院にとってのデジタルトランスフォメーション」を考えるとき、そこにはメリットだけではなくデメリットも存在します。
ここでは、寺院がデジタルトランスフォメーションを導入するとき・導入した後のデメリットについて解説していきます。
導入費用がかかるのはもちろん、慣れるまでの時間的負担も大きい
デジタルトランスフォメーション(以下“DX”)のデメリットのなかでもっとも大きいのは、「導入費用がかかる」ということでしょう。
大がかりな取り組みはもちろん、小規模な取り組みであってもそこには初期導入費用がかかります。たとえば、「今までは紙の台帳で管理していた檀家の情報を、電子化して管理する」というごく簡単な取り組みであってさえ、パソコンの導入費用がかかることになります。
また、意外と見落とされがちなデメリットとして、「時間的な負担がかかること」も挙げられます。
今まで長くパソコンなどに触れてきた人ならばDXとの親和性も高いと思われますが、そうではない人の場合は「どのように使うのか」「トラブルが起きた時にはどうするのか」を一つずつ学んでいかなければなりません。これは非常に大きな時間的負担をもたらすものであると同時に、「うまくいかなくてやる気が出ない」「面倒に感じて、モチベーションが続かない」など、気持ち的な面でのマイナスをも生じさせる可能性があるものです。
檀家からの評判が良いとは言い難い、というデメリットもある
またたとえ寺院側がDXの導入に積極的であったとしても、「進めたはいいが、檀家からの受けが悪い可能性もある」という点にも注意を向けなければなりません。
たとえば寺院におけるDXの取り組みのひとつである「インターネットでの僧侶派遣」に関しては、4分の1程度が「寺院とのつながりが薄そう」と感じて拒否感を抱いています。また、「不安」「経験が少なそうだ」「葬儀などに呼ぶのは難しいと感じる」「病気を持っているかもしれない」などのマイナスの印象を上げる人が非常に多いことが統計で分かっています。
キャッシュレスサービスや法事のオンライン予約などの場合はDXの技術が重宝されていますが、「DXを採用したことで、逆に檀家さんとの距離が広がってしまった」となるリスクがあることも抑えておかなければなりません。
お寺がDXを考えるのであれば、DXのメリットとともに、「宗教施設・宗教団体が持つ特異性から来るデメリット」についても把握しておく必要があるでしょう。