コラム No.042 新型コロナウイルス(COVID-19)がもたらすもの

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新型コロナウイルス(COVID-19)がもたらすもの

「法要数の減少」と、今後の見通し

新型コロナウイルス(COVID-19。以下「コロナ」の表記に統一)の流行は、私たちの生活様式を大きく変えました。これは「法事・法要」の分野においても例外ではありません。

今回は複数のデータを元に、コロナの時代の法事・法要のデータについて解説していきます。

コロナによって、お盆の実施率は大きく低下した

「コロナと法事・法要」についてまとめたデータは複数あります。

たとえば2020年に全日本仏教会が出したデータでは、「2019年までは、毎年あるいは節目の年のお盆のときにお経をあげてもらっていた人の割合は、31.4パーセント」となっていました。しかし2020年の場合はこれが大きく減り、「2020年の段階で、お盆にお経をあげてもらったあるいはあげてもらう予定があると答えた人は、20パーセント程度」となっています。

お盆のときに渡されるお布施の金額は、コロナ流行前と流行後でほとんど変わらないとされていますから、手元に入ってくるお布施の金額が少なくなったという寺院もあることでしょう。

また、「コロナが終息しなければ法事は今後法事を行わない。落ち着いたらしてもらう」と答えた」人は1割程度、「コロナが終息してももう法事・法要は行ってもらわない」という人の割合は5割を超えています。

2021年の段階ではどうか

上記のデータは、非常に信頼性の高い全日本仏教会のデータです。ただ、このデータはすでに紹介した通り、2020年のものです。コロナのようにめまぐるしく対策や状況が変わる病の場合は、これ以外にも、「新しい情報」にあたる必要があります。

2021年に葬儀業界大手の葬儀会社がとったデータでは、「2020年の4~5月は大きく法事・法要のニーズが落ちておいて、前年比に比べると60パーセント以上マイナス(※一周忌法要の場合)」となっていました。しかし2021年になると回復傾向がみられ、2021年4月では前年比115パーセントと大きく上昇しています。

この2つは異なる団体がとったものであるため、簡単に統計結果を比較することはできません。

ただこれを合わせてみていくと、「コロナ真っ只中の状態のときは法事・法要の件数が減っていたし今後もその傾向は続くと思われていたが、実際には2021年ごろから回復傾向にある」といえるでしょう。

つまり、寺院にとっても非常に重要な法事・法要の文化は消えることはないと思われる、とこのデータは示唆しているわけです。

もっともこれらはあくまで「データ」の話です。宗教への帰属意識が薄まってきている現在では檀家をやめる人なども多く見られます。そのため、寺院側も現在の信者様・潜在的な信者様に積極的にアプローチしていく姿勢が求められます。