コラム No.041 「僧侶派遣サービス」に登録することのデメリットとは

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「僧侶派遣サービス」に登録することのデメリットとは

マージンの話

「僧侶派遣サービス」は、菩提寺を持たないあるいは離檀したいと考える人にとって有用な選択肢のうちのひとつです。ただこの僧侶派遣サービスは、「利用する側」の視点で語られることはあっても、「登録する側」の視点で語られることはあまりありません。

ここでは、「僧侶派遣サービスに登録するときのデメリット」を、寺院側の視点から見ていきます。

僧侶派遣サービスを通して依頼された場合、手元に入ってくるのは半額程度

僧侶派遣サービスに登録することで寺院は、つながりが増えたり、お布施を得られる機会が増えたりします。そのため僧侶派遣サービスは、登録する側にとってもメリットのあるものです。

しかし僧侶派遣サービスに登録してこれを通して依頼が成立した場合、サービス運営元にマージンを取られることになります。このマージンの金額は非常に大きく、実に40パーセント~50パーセントにもなると考えられています。つまり、自分たちの手元に入ってくるのは、お布施全体の50パーセント~60パーセント程度だということです。

また、そもそも僧侶派遣サービスの場合は、「明朗会計」としてお布施の金額を設定しています。このお布施の金額はそれほど高くはなく、だいたい30000円程度を基準としています。「明確でわかりやすい『料金』設定」「金銭的な負担が大きすぎないこと」を僧侶派遣サービスはウリにしているのですから、お布施の金額は当然抑えられることになるわけです。

僧侶派遣サービスとの上手な付き合い方を考える

このような実態を知れば、僧侶派遣サービスに登録することをためらう人も出てくることでしょう。僧侶派遣サービスに登録したとしても、お布施の金額も増えないということも考えられるからです。僧侶派遣サービスにだけ頼り切りになるのは、少々心もとないと考えるのは、ある意味では当たり前のことだといえます。

ただ、自分自身のお寺を持たない人や、少しでも多くの人と関わっていきたいと考えるご僧侶様にとっては、僧侶派遣サービスは利用価値のあるものでしょう。確かに入ってくるお布施の金額は少なくなるものの、新しいサービスに登録することで「今まではまったく関係がなかった人」から法事・葬式の依頼をされる可能性が高まるからです。またそこでつないだ縁がもとで、「次の法事もこのお寺に」と考える人も出てくるかもしれません。

僧侶派遣サービスに登録することには、メリットもあればデメリットもあります。それを踏まえたうえで登録するべきかせざるべきか、登録するのであればどのように利用していくかを、寺院側も考えていくべきでしょう。