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②「直葬」という選択肢に対して、寺院はどう向き合うべきか?
~考えられる対策について〜
前の記事では、「菩提寺の有無に関わらず多くの人が直葬という選択肢を好意的にとらえてはいるものの、そのすべてが『諸手を挙げて直葬を歓迎する』としているわけではない」と読みとれるデータを紹介してきました。
それでは寺院側は、このデータを受けてどのように動いていけばよいのでしょうか。
今回の記事ではそれについて解説していきます。
「菩提寺についてよく知らない」という人に対するアプローチを
宗教への帰属意識が薄れてきた現在、「そもそも菩提寺があるかどうかすら知らない」という人も多く見られます。また、「菩提寺があるとのことだが、そもそも働きかけがないためなんとも思わない」という意見もよく見られます。
このような人に対して関心を持ってもらうためには、寺院側からのアクションが必要です。「〇〇周忌」などのタイミングでお知らせのハガキを送ったり、コロナ下で不安に思っていることはないかと働きかけたりすることは、非常に重要です。
実際、「コロナ下において、菩提寺からアクションがあった」という人の多くは、菩提寺に対してプラスの印象を抱いているという統計結果も出ています。
「お金のことで不安が大きい」という悩みに寄り添う
寺院はその運営のための費用のほとんどをお布施や護持費によってまかなっているという現状があります。このような現状を踏まえて、葬儀会社側でも喪家側に対して、決して少なくない「お布施の相場」を提示しています。
たしかにお布施は寺院にとって非常に重要なものです。しかしこの、「(喪家にとっては)高額なお布施」「いくらかかるか分からないお布施」が原因となって、直葬を選ぶ人の割合は決して少なくはありません。
このような悩みに寄り添うために、「僧侶派遣サービス」などの新しいサービスに登録するのも一つの選択肢でしょう。また、僧侶派遣サービスはそのうちの半分ほどを登録業者が持っていくというシステムをとってはいますが、それでも、明朗会計であり、かつ高額すぎる金額を包む必要のないこのサービスが、喪家の精神的・金銭的負担を除いていることは確かです。
「直葬」という選択肢
寺院にとって「直葬」という選択肢は、必ずしも歓迎できるものではありません。
しかしそれに対して「歓迎できない」というスタンスを取っているばかりでは、状況は変わりません。
直葬が求められる背景を知り、どのような対策を取っていくかを考えていくこともまた重要なのです。