コラム No.054 「来やすいお寺」にするために~お寺にエアコンを入れる意味とは〜

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「来やすいお寺」にするために

~お寺にエアコンを入れる意味とは

ひと昔前までは、寺院の本堂などは「寒い場所(暑い場所)」の代名詞ともいえるところでした。
しかし現在はこの本堂に、エアコンを入れるお寺も増えています。

今回は「お寺とエアコン」をテーマに、お寺にエアコンを入れる是非と考え方について解説していきます。

エアコンの導入によって「来やすいお寺」を作る

「本堂にはエアコンを入れていない」というお寺も多いかと思われますが、現在はエアコンを導入するお寺も増えてきています。

お寺は、(各寺で多少の違いはあるものの)総じて長い歴史があります。そのため、「昔は耐えられたのだから、今も耐えられるはず」と思う人もいることでしょう。しかし現在の平均気温は、その「昔」よりもずいぶん上がっています。たとえば江戸時代の中期であった1700年代の7月の平均気温はわずか23.7度であり、現在の7月の平均気温よりも3.7度も低かったとされています。

このように、現在の夏は昔に比べて非常に暑いといえます。また高齢化社会になってきた現在では、参拝者の平均年齢も上がっていると考えるのが自然です。若い世代に比べて気温の変化が如実に「体調」に現れやすいご年配の方に配慮する意味でも、エアコンの導入が求められます。

エアコンを導入することによって、人は格段に寺院に足を運びやすくなります。現在は寺院葬の数も減っていますが、エアコンを設置すれば、少なくとも「暑さ寒さが厳しい」という理由で寺院葬を選択肢から外す人はいなくなるでしょう。

気象庁「月ごとの値」
https://www.data.jma.go.jp/obd/stats/etrn/view/monthly_s1.php?prec_no=44&block_no=47662&year=2022&month=&day=&view=a2

J-stage「東京における江戸時代以降の気候変動」
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jgeography/122/6/122_122.1010/_pdf/-char/ja

お寺におけるエアコンの選び方

ただ、「エアコンを本堂に入れる」といっても、どれくらいの馬力のものを選べばよいかわからない……という人も多いかと思われます。

当然のことながら、本堂が広くなればなるほど高馬力のエアコンを設置する必要があります。20畳以下の場合ならば1.5馬力の物で足りますし、50畳を超えるようならば4馬力以上のものを選ぶ方が効率が良くなるでしょう。100畳以上となると10馬力ほどは欲しくなります。

これらの「エアコンの能力」もまた、業者に相談すれば回答をもらえます。

なお現在は、「寺院にとりつけるためのエアコン」も出ています。エアコンといえば真っ白いイメージがありますが、寺院用に開発されたエアコンは黒く、また天井から吊り下げるかたちで設置することができるようになっていることが多いといえます。

これらは本堂にあっても本堂の厳粛さを壊すことがありませんし、何よりまったく目立ちません。エアコンはある程度長く使い続けることになるものですから、馬力はもちろんのこと、外見にも注目して選ぶとよいでしょう。