オリジナル
「賽銭泥棒」「仏像盗難」に関する価値観について
対岸の火事ではない
「賽銭泥棒」「仏像盗難」は、寺院について非常に深刻な問題のうちのひとつです。
今回はこの2つについて取り上げるとともに、世の人々がこれらを防止するための防犯対策についてどう考えているかを解説していきます。
賽銭泥棒も仏像盗難も「対岸の火事」ではない
賽銭泥棒や仏像盗難は、決して「対岸の火事」ではありません。
たとえば、2023年の6月14日には、聖徳太子と関わりのあった有名な寺院に賽銭泥棒が入ったという報道が流れました。これは住職自身が賽銭泥棒を確保、警察に連絡したものです。また、同寺には、重要文化財に指定されている仏像も所蔵されています。
また、長崎県の対馬市のお寺である観音寺から仏像が韓国に持ち出されたとし、裁判が続けられていました。この裁判では一審判決では「もともと韓国側の寺に所有していたものを日本が倭寇によって奪い取った。正当な所有者の元に帰っただけだ」という判決が出ましたが、高裁では「これは盗難であり、所有権韓国の寺にはない」とされました。なおこの報道では、韓国側が最高裁に訴えることを考えている、と締めくくられています。
6割以上が「国家予算での対応の必要性なし」としている
賽銭はそのまま「お金」ですし、寺院が所有している仏像には文化的な意味があります。また、防犯対策を寺院側で行おうとすれば、寺院側の被ることになる経済的な負担はかなり大きくなると予想されています。そのため、公的なお金でこれらの防犯対策を敷ければ……と考える寺院関係者も多いことでしょう。
しかし民間業者が2023年に行ったアンケートでは、「個々の寺院の防犯対策を、国家予算で対応する必要はない」と答えた人が6割を超えていました。「その他」「分からない」を合わせれば7割近くにもなり、「国家予算によって仏像盗難などの対策を行うべし」とした人はわずか3割程度にとどまっています。
もちろん、これはいち企業のとったアンケートであり、投票数も64票と少なくはあります。ただ多くの人にとって、「賽銭泥棒や仏像盗難はたしかに大きな問題ではあるが、個々のお寺で個別に対応すべき話である」というものでことを、まずは寺院側が理解しなければなりません。
BIGLOBEニュース「Surfvote投票結果「仏像盗難対策に、国は予算をつけるべきか?」」
https://news.biglobe.ne.jp/economy/0713/prt_230713_0624639566.html
朝日新聞「対馬から盗難の仏像「韓国の寺の所有物ではない」韓国高裁が逆転判決」
https://www.asahi.com/articles/ASR214RNFR10UHBI00Z.html
YAHOO!ニュース「賽銭泥棒に入った男は警備員 「たばこ買う金が・・・」680円盗む 聖徳太子ゆかりの兵庫・斑鳩寺」
https://news.yahoo.co.jp/articles/a11effeba2508149dae550974af631d7d4a47512