オリジナル
【寺院向け】
デジタルトランスフォーメーションという選択肢②
寺院にとってのメリット
前回は、寺院におけるデジタルトランスフォーメーションの例として、築地本願寺を取り上げました。
今回はここから、「寺院がデジタルトランスフォーメーションを取り入れるメリット」について解説します。
メリットその1.信徒様により案内を届けやすくなる
寺院におけるデジタルトランスフォーメーション(以下DX)の例としてもっともよく取り上げられるのは、「デジタル技術を利用した信徒様の名簿管理」でしょう。
手書きのものよりも見やすく、手書きのものよりも調べやすく、手書きのものよりも多くの人のデータを管理できるデジタル管理は、非常に便利なものです。
また、「〇〇様が亡くなられてから、6月で6年目となります」のようにピンポイントで案内を出すことで、七回忌法要の開催などにつなげられやすくなります。人は、ターゲットを絞らないで配信された情報よりも、個人をターゲットとして出された案内の方に反応しやすいため、このような案内は極めて効果的です。
また、「以前のメッセージで反応してくれた信徒様」のデータを積み上げていくことで、より信仰の深い信徒様の情報を蓄積することができるようになります。
メリットその2.新型コロナウイルス(COVID-19)下においても法要を開催できる
新型コロナウイルス(COVID-19)の流行は、多くの人の生活を変えました。
「葬儀でのクラスター発生」が話題に上ったこともあり、大規模な葬儀を取りやめて家族葬に変更される人や、葬儀自体を直葬にする人も多く見られました。このような状況では寺院の運営は苦しくなりますし、また何よりも大切な信徒様のお心に寄り添えないという問題が出てきてしまいます。
しかしDXを取り入れて「オンライン法要・オンライン葬儀」という選択肢を提供することで、このような問題を解消できます。もちろん「100パーセントの代替え案」にはなりえませんが、それでも、寺院にとっても信徒様にとっても意味のある提案だといえます。
メリットその3.多くの人に「寺院そのもの」を知ってもらえる
人は、自分がまったく知らないものに対しては興味を抱くことができません。何らかの知識のとっかかりがあって、それによって興味を抱き、その興味によって実際の行動を起こします。寺院の立場に当てはめてみれば、「まずは寺院を知ってもらって、寺院に興味を抱いてもらい、それを原動力として参拝してもらう(あるいは檀家になってもらう)」となるでしょう。
最初のとっかかり・知識を持ってもらうためにも、DXは非常に有効です。
たとえば現在は、寺院の光景を移した動画や、ご僧侶様の法話動画などがよく配信されています。また、若い世代向けのいわゆる「面白動画」などがメディアに取り上げられることもあります。
これらは、多くの人が目にするコンテンツとなります。
この動画で寺院や所属のご僧侶様を知ってもらい、寺院やご僧侶様に興味を抱いてもらい、参拝してもらう……という流れを取ることが可能になってきているのです。
「行動」の土台となる「知る」を作り上げていくうえでも、DXは非常に意義深いものだといえるでしょう。