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お寺側からのアクションは好印象
どんなアクションが考えられる?
菩提寺と檀家に限った話ではありませんが、「相手に対する働きかけ」は多くの場合プラスの効果を示します。
今回はそのデータと、「それではどのような行動をすればよいのか」について解説していきます。
「菩提寺から連絡がきた層」は、菩提寺への満足度が高い
全日本仏教会がとったアンケートでは、「新型コロナウイルス(COVID-19)禍のなかで菩提寺から連絡があった場合の檀家の満足度と、連絡がなかった場合の檀家の満足度」の統計をまとめています。
それによると、「お寺から連絡があった層」のうちの61.4パーセントが「檀家の対応に満足している」と答えているのに比べ、「お寺から連絡がなかった層」ではこの割合が30.1パーセントにとどまっています。
つまり連絡の有無によって、「満足している人の割合」が実に2倍近くも違ってくるのです。
なお、「不満である」と答えた層の割合は、連絡の有無に関わらず10パーセント程度です。
連絡があった……満足61.4パーセント/普通29.3パーセント/不満9.3パーセント
連絡がなかった……満足30.1パーセント/普通59.8パーセント/不満10.0パーセント
さらに重要なのは、「今後、その菩提寺との付き合いを続けていくかどうか」という設問です。
「満足している」と答えた層のうちの9割は「これからも続けていく」としているのに対し、「普通」と答えた層のうちの実に4割近くは「これからの付き合いを減らしていくあるいは辞める」としているのです。
つまり、「良い印象は持たれていないが、悪い印象を持たれていないのならばまぁいいか」と考えていると、檀家が離れていく可能性が非常に高いのです。
菩提寺からできるアクションとは
それでは、菩提寺からはどのようなアクションを行えばよいのでしょうか。
まず考えられるのは「はがき」です。
〇回忌法要などが近づいてきたタイミングで、案内のはがきや手紙を出すようにするとよいでしょう。実際に、「はがきによる連絡」は、菩提寺からの連絡方法のなかで1位を占めています。
電話をするのもひとつの方法です。「ご僧侶様の声を聞くことで安心した」という檀家さんも多いことでしょう。ただ電話の場合はどうしてもとれる時間・とれない時間があることは留意しておかなければなりません。
また、メールなどを送ってみるのもひとつの方法です。特に、以前メールで連絡をしてきた檀家さんなどの場合は、メールの方が目に入りやすいこともあります。
なお現在は「メールはある程度匿名性があるので、檀家ではない人に対してもメールアドレスを広く公開して悩み相談を受け付けている」としているお寺もあります。「菩提寺から檀家へのアクション」とは少し話がずれますが、このようなかたちで悩む人の手助けをしていくのも寺院のあり方のひとつだといえるでしょう。
「寺院側からのアクション」は、多くの人に好意的に受け止められます。もちろんしつこすぎたり頻度が高すぎたりするのは逆効果ですが、信者の方のお心に寄り添うためにも行動を起こすようにするとよいでしょう。