コラム No.065 「お盆の供養」に対するアプローチを考える〜コロナ禍におけるお盆の捉え方〜

オリジナル

「お盆の供養」に対するアプローチを考える

コロナ禍におけるお盆の捉え方

新型コロナウイルス(COVID-19)の流行は、私たちの生活を大きく変えました。「人を弔い、送る」という葬送儀礼の場においてさえ、新型コロナウイルス(COVID-19)の影響は大きく、多くの人がその考え方を変えることを余儀なくされました。

しかし2023年の6月現在、新型コロナウイルス(COVID-19)は第5類に変更されています。新型コロナウイルス(COVID-19)に対するとらえ方も変わっていった今、寺院はどのようにこの「葬送儀礼」に向き合えばよいのでしょうか。

今回はその「葬送儀礼」のなかから「お盆」を取り上げて、新型コロナウイルス(COVID-19)禍におけるお盆のとらえ方と、2023年の現在寺院側ができるアプローチについて解説していきます。

15.1パーセントが「収束した場合は、お経をあげてもらう」と答えていた

新型コロナウイルス(COVID-19)禍のなかでとられたアンケートでは、「今後のお盆についてどのように考えているか」の設問が設けられていました。

この設問に、「菩提寺あり」と答えた人のうちの16パーセントが「収束しようがしなかろうが、お経をあげてもらう予定」と答えていました。また、約15パーセントが「収束したらお経をあげてもらう予定」と答えていました。

ちなみに菩提寺なしの人の場合は、「収束しようがしなかろうが、お経をあげてもらう予定」と答えた人が7.4パーセント、「収束したらお経をあげてもらう予定」と答えていた人が約13パーセントという結果になっています。

いずれの設問ももっとも多かった回答は「分からない」でした。ただ寺院側から見れば、この「収束したらお経をあげてもらう予定」と答えている層に対して有効なアプローチをしていく必要があります。

「思い出させること」は非常に重要

上記で「新型コロナウイルス(COVID-19)収束後にはお経をあげてもらうつもりだ」と答えていた人の割合は、10人~5人に1人程度だとしました。しかしおそらくこう答えた人のなかでも、「時間の経過とともにお盆の必要性がわからなくなってきてしまった」「失念していた」という人はいるでしょう。

このような人をつなぎとめるためには、寺院側が「お盆の時期であること」を思い出させることが重要です。具体的に言えば、ハガキで法要の案内を出したり、電話で声をかけたりといったことです。このようなことをすることで、相手に「お盆があったこと」「お盆が重要であること」を思い出させることができます。

なおこの際には、「それぞれのご家庭の供養がどこまで進んでいるか」をしっかり確認しておくことが重要です。すでに納骨を済ませているにも関わらず「納骨式の案内」などのような名目で声を掛けてしまうと、不信感が生まれます。そしてこの不信感は、たやすく「寺離れ」を引き起こします。

そのため、連絡をする前には、必ずそれぞれのご家庭の事情を確認するようにしなければなりません。

出典:
全日本仏教界「仏教に関する実態把握調査(2020年度臨時調査)報告書