コラム No.074 移り変わる「寺のDX」~現在はより多くの選択肢が出ている 

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移り変わる「寺のDX」

現在はより多くの選択肢が出ている

DX(デジタルトランスフォーメーション)」とは、デジタル技術を用いた業務・企業の変革を指す言葉です。

「寺院×DX」をこのサイトで取り上げてから2年程度が経ったため、ここでは「2023年の10月末日の現在の寺院×DX」について解説していきます。

「キャッシュレス化」「法事の予約のオンライン化」などが2年前の中心だった

2年前の「寺院×DX」を取り上げた記事では、「お賽銭やお布施のキャッシュレス化」「法事をオンライン化」などを中心としていました。

これらは新型コロナウイルス(COVID-19)の影響もあり、比較的多くの人に受け入れられた改革だといえます。そしてこのような変化は、新型コロナウイルス(COVID-19)が落ち着いた後でも消えることなく残りました。

現在はお守りなどをオンラインで求められるようにしている寺院もよく見られます。

また、築地本願寺は非常に早い段階で、「信徒さんの管理をするためのツールを導入する」というスタイルについて言及していました。これらの技術も残り続け、多くの寺院を助けています。

さらに新しく進化していく「2023年の寺院×DX」

このようにして手探りで始まった寺院×DXの試みですが、2023年10月末の現在ではさらにその選択肢が多様化しています。

そのなかでも特徴的なのは、「チャットGPTを使ったサービス」でしょう。2022年11月に公開されたこの技術を使い、浄土宗善立寺の副住職が僧侶向けに「キャリアを積むための方法」「子供会をするにはどうしたらいいか」などを伝えるシステムを作りました。

このような技術は、2年前にはまったくなかったものです。

また、現在は「お寺のためのDX」として、お寺および宗教法人のIT化を専門として活動する企業も出てきています。お寺という特殊性を踏まえたうえで、書類をデジタル化したり、データ管理や業務の効率化を図ったりするのが彼らの役目です。

加えて、現在多くの人が当たり前に使っている「SNS」を信徒獲得や寺院のイメージアップにつなげるための使い方指導なども行っています。

ITの世界は日進月歩であり、2年前には革新的だと言われたことが2年後には「当たり前」になっていることもよくあります。もちろんやみくもにDX化を意識することはかえって寺院にとってのマイナスとなりますが、それでも、DXやITに嫌悪感を持たず、「寺院に生かしていくにはどうしたらいいか」「現在はどのような技術があるか」に関心を向けていく姿勢を持つことは大切です。